宗形竜憲の海外オリエンテーリング日誌

スウェーデン編1

  スウェーデンは、オリエンテーリング発祥の地として名高い。一般には、森と湖の国と言われている。しかし、この森と湖にもう1つ加えたい。それは、岩だ。スウェーデンという国は、国土が、ほとんど岩だらけである。この岩は、モレーンと呼ばれ、氷河によって削られた岩石がたまってできた小丘をつくっている。そして、この岩の上に針葉樹が生える森が、どこまでも果てしなく続いている。

 1つ目の大会は、スウェーデン南部の中央にあるリンチェピングという都市の近くで行われたショートの大会である。競技開始時刻は、午後6時30分とあった。そう、ここでは、まだまだ昼間なのである。スタート時刻は、午後7時30分頃。地図をみると最初のポイントはすぐ近くで、次のポイントはその先の山を越え、広い湿地の先の山の向こう側であった。その先には、道路があり、そこまで行けば何とかわかるだろうと思った。しかし、この考えは甘かった。

 1つ目は、すぐに見つかった。次に、山を越え森の中へ入っていった。下がふわふわとしたコケで走りにくい。やがて水路を渡りに登りにかかった。トラックの轍(わだち)のようなものを通り過ぎ、さらに登り続ける。やがて平らになった。しかし、なかなか下りがない。ついに1本の普通の電柱に当たった。

 こんな山の中に電線?それが、地図に記された高圧線の記号であることを悟るには、さほど時間はいらなかった。ずっと気づかずに湿地を渡りすぎ、4つ目のポイントの近くにいるではないか。地図には等高線が書いてあるが、ほとんど平らな山頂からもどり、再び迷いながら4つ目まで見つけ、5つ目に近づいたとき陽が沈みかけた。時計をみると夜の9時近い。あたりにはもう誰もいない。何やら動物が動き回っているのだろう、杉の枝の折れる音が森に響いた。日本の倍くらいの大きさの蚊に何ヶ所か刺された。もうすぐ暗くなってしまい、地図を読むどころか、歩き廻ることさえ不可能だろう。そう、「やめる勇気」も必要だった。ここで、捜索してもらうようでは申し訳ない。必死の思いでゴール地点を目指した。ゴールには他の選手の姿はなかったが、花束を抱えたスタッフの笑顔と拍手が待っていてくれた。

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